こんにちは!
中小企業診断士でアパレル暴露営業マン、ことまです。
こっさんと呼んでください。
アパレル業界の原価率って気になりますよね?
服を買う人は値段が見合っているのかが気になりますし、アパレルで働いている人は利益が取れるのかが気になるので、双方が納得できる状態がベストです!
ただ、現状は違うんですよね。。
そして、アパレルの原価率は低いと言われますが、それは本当でしょうか?
原価率が低いとなると、販売側だけが得をして消費者は損をしているのでしょうか?
別にいいんだよ、アパレルの俺らさえ儲かれば。
そうよそうよ。
私の給料が良ければそれで良し。
二人の意見が合うのは珍しいけど、考え方がえぐいでしゅね。。
アパレルの原価率はむしろ高い!
アパレルの原価率が低いと言われるのは、はっきり言って嘘です!
どゆこと?。
では、なぜアパレルの原価率が低いと言われるのか?
ということで今回は、
- アパレルは原価率が低いのは嘘!の理由
- 原価とは?原価にも種類がある!
- よく勘違いする売上原価と売上原価の計算方法
以上の内容をお伝えしますので、参考にしてください!
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アパレルは原価率が低いのは嘘!の理由
原価率は業種やメーカー、小売店等の形態によって算出方法が違ってくるので、私が財務コンサルタント時代の最初の頃は本当に苦労しました。。
ただ、原価率の詳細は後述することにして、ここでは簡略してお話します!
原価率は商品の販売価格に対する原価の割合であり、
原価 = 実際に商品を作る過程で必要な経費
なのですが、アパレルメーカーや小売りでは製造に携わる人がいなく、人件費は原価ではなく販管費に分類されるため、
原価 = 商品代
となります。
そして、アパレルメーカーだと30%、通常のアパレルショップの原価率は40%~50%、大手アパレルショップでは20%~30%だと言われています。
それに対して、しまむらは原価率が約60%、ユニクロは約50%なんですね!
ユニクロよりその他大手アパレルの方が低い!
別にいいのよ。
私の給料が良ければ。。
確かに、その他大手アパレルショップは原価率が安い感じますよね?
これこそがアパレルの原価率が低いと思われる要因なんです!
なので、普通に考えれば大手アパレルは儲かっているように感じるのですが、、その原価率が本当であればです。
実際はそうではありません!
昔は大手アパレルでも原価率は高かったのですが、段々と原価率が下がっていきました。
理由は、
服が売れなくなったからです!!
服が売れなくなったから原価率が下がった?
どゆこと?
通常であれば、売れなくなると安く販売してしまうため、原価率は上がるのですが、大手アパレルは “あらかじめ安く販売するため” の原価率設定にしているんです!
つまり、定価であまり売れないから、仕入れ原価率をセール値段設定にしているんですね!
マジか!
で、私の給料はどうなるの?
まだ言ってるでしゅ。。
なので、仕入れた当初の原価率は20%だとすると、
- 定価1000円のものを200円で仕入れる
- 30%セールで700円で販売する
- 売り尽くしで70%のセールを行い300円で販売する
あら不思議!
原価率20%なら30%どころか、70%引きのセールをしても赤字にならないんです!!
あら不思議じゃねーよ。
詐欺みたいな話じゃねぇかよ。。
そうなんです!
詐欺ではありませんが、通常200円で仕入れた商品は専門店では400円で販売するのに、大手では1000円で販売しているってことなんですよ!
単純に言えばですが。。
ただ、大手は量を仕入れる代わりにメーカーや工場に値段を下げさせるので単純に200円の商品を1000円で販売しているわけではありませんが、原価率が低いと言われる理由はここにあります。
でも、結局はセールで販売するので本当の原価率は大手でも高くなるんですね。
また、こちらは会計上のことになりますが、在庫を廃棄したり在庫価値を減らすことを原価に組み込まず営業外費用や特別損失に組み込むこともあるので、原価率は低く見える場合もあります。
なので、アパレル業界(特に大手アパレル)の原価率が低いと言われるのは嘘であり、最初の仕入れ原価率は低くとも、着地の原価率は高い!ということになるんです!!
まあ細かいことはよく分からんが、セールで安く売っているから結局原価率は高いってことだな。
そうなんです!
しかも、セールを行っても段々と売れなくなるので、さらに仕入原価率を下げて安くで販売しようとしているんですよね。。
これが何を意味するのか?
お客さんはセール値段が適正価格なのに、通常は高い値段で買わされていることになるんです!
いくら企業努力をしたところで安く生産するのには限界があります。
なので、品質があまりよくない割に高いと感じる
↓
定価で売れなくなる
↓
セールでしか売れなくなる
↓
さらに安く生産して品質がさらに悪くなる
この負のループが続いているのがアパレル業界なんですよ!
このようなことをしていては、アパレル業界に未来はありません!!
原価率が高い方が健全?
私の会社は他のアパレルメーカーと違い、原価率は高めで40%ぐらいです。
でも、むやみに安くしたりセールで販売することがありません。
そうなると、他のメーカーと全く同じ商品であっても、お客さんには安く提供できるんです!
つまり、原価率40%の当社では2000円で仕入れたものを5000円で販売できますが、原価率30%の他社では、2000円で仕入れたものを6666円で販売しなければなりません。
なので、お客さんは当社から購入したほうが得ということですね!
同じ商品なのに。。
ただ、定価を安くすればいいってもんでもありません!
高級ブランドは原価率が低いですが、それはブランド価値を守るため、販促費にお金をかけたり、販売員教育や人件費がかかるからです。
また、安くで販売するとブランド価値が下がるため、安く販売せずに廃棄しなければならないため、その廃棄分も考えなければなりません。
なので、高級ブランドは原価率は低くても販管費が高くなるため、粗利は高くても営業利益が低くなるのが普通です。
そして、安く販売してしまうと会社が儲からないため、従業員の給料は上がりませんし、福利厚生にもお金をかけられないため、値段設定は難しいんですよね。。
でも、大半をセールで販売するために消費者を欺くような値段設定や、生産しているメーカーや工場に負担をさせるのはちょっと違うと思います!
セールに頼らない企画を行い、利益も取れてお客さんも納得する適正価格で販売することで、会社も儲かり従業員も喜ぶ。
そんなアパレル業界が来ることを私は祈っていますし、私も頑張ります!!
➡【20年現役が語る】アパレル業界の深い闇と変化できない理由
原価とは?原価にも種類がある!
会社員であれば製造にかかわらなくても原価を理解しておくことは大事ですし、営業マンにとっても原価の考えは必要となってきます。
数字に強い人は「出来る営業マン」という気がしますし、30代になり今後営業だけでなく、上の立場になるあなたにとっては、数字は切っても切れない関係になりますからね!
なぜなら営業計画や事業計画をしっかり作成するには、数字に強くないとできないからです。
数字の裏付けがない計画はただの妄想ですから。。
なので、今から売上原価と製造原価の話になりますが、特に営業マンは売上原価の概念は知っておく必要があるので、分かりやすく解説していきますね!
えーいいよ、難しそうだし面倒臭いし。。
諦めるのが早いでしゅよ。
商品、例えば Tシャツを作るのにかかった費用のことを「原価」と呼んでいます。
そして、Tシャツを販売するときの売値、販売価格は、
売値 = 原価 + 儲け(利益)
という計算式となりますが、原価がわからなければ、Tシャツをいくらで販売してよいのかわかりませんよね。。
また、利益を上げるにも、原価がわからなければ原価を下げる対策を打つことはできません!
なので、まず原価を理解する必要があるのです。
そして原価にも種類があります。
「製造原価」と「売上原価」です。
製造原価?
なんじゃらほい。
ではまず、製造原価についてご説明しますね!
製造原価とは?コンビニ弁当で解説!
では製造原価についてお話をしていきますが、コンビニで販売しているお弁当の原価について考えます。
お弁当を作るためには、
- おかずの材料
- お米
- お弁当の容器、箸
- 調味料
などの材料が必要です。
これが必要な材料費となります。
次に、おかずを作るためのコンロや鍋、お米を炊くための炊飯器、ガス、電力
どの設備が必要ですよね。
ガス、電力の設備を購入すれば、これが設備費となります。
そして、おかずを作ったり、ご飯をお弁当につめたりする人が必要で、この人達の給料等が労務費です。
その後、出来上がったお弁当をコンビニやスーパーへ輸送する費用が必要になりますが、この輸送費が経費になるんですね。
このように、メーカーが商品を作るためには、材料費、設備費、労務費、経費などが必要になり、これらが原価となります。
製造に必要なこれらの原価が「製造原価」なんです。
ほ、ほほう。
製造原価ね、OK牧場。。
くだらない冗談を言ってるけど、すでに怪しいでしゅね。
では、続いてコンビニで販売するための費用はどうなるのでしょうか?
- 広告宣伝費用
- チラシを制作するための事務員の給料
- チラシを制作するための通信費
- 事務所の光熱費やその他の雑費 等
そして上記の「商品を販売するためにかかった費用」は原価になるのでしょうか?
う~ん。
言葉の意味はよく分からんが、なる!
正解!
こちらもまた原価になります!
さすが俺、天才!
当てもんでしゅか。。
ただし、製造原価ではありません。
こちらの費用は、販管費と呼ばれる原価になるんですね。
販管費は「販売費および一般管理費」として、販売費、一般管理費とセットで扱われるのですが、「販売費および一般管理費」は、営業費・販管費(販売管理費)などとも呼ばれます。
なので販管費とは、販売するためにかかった費用のことなのです。
*一般的に原価といえば、製造原価のことをさすことが多いです
な、なるへそ。。
。。。
そして、先ほどのコンビニ弁当の例を Tシャツ製造工場で考えてみると、
【製造原価】
- 材料費:Tシャツ用の糸、染料 等
- 労務費:工場員の賃金、人材派遣料、法定福利費、福利厚生費 等
- 経費:水道光熱費、賃借料、減価償却費(設備費) 等
【販管費】
- Tシャツ製造には直接関係していない経費(事務員給料、事務所経費)
といったものになりますね。
アパレル業界で例えてもらうと少し分かるようになったわ。
ですよね!
自分がいる業界で例えると分かりやすくなると思います!
では、次に売上原価を見てみましょう。
【関連記事】減価償却費とは?営業マンでも分かる減価償却 耐用年数と計算方法
よく勘違いする売上原価と売上原価の計算方法
ここから少し難しくなります!
厳密に言うと、売上原価と製造原価は異なりますが、売上原価の中に製造原価があるイメージですね。
- 「売上原価」とは、売れた製品の原価
- 「製造原価」とは、製品をつくるための原価
そして、売上原価の計算方法は、
①期首商品棚卸高(期首在庫)+ ②当期商品仕入高(当期製品製造原価)- ③期末商品棚卸高(期末在庫)= ④売上原価
このようになるんですね。
ほ、ほほう。
期首に期末ね。。
もう絶対に分かっていないでしゅね。。
ここでよく勘違いすることなのですが、期首在庫と今期に仕入れをした商品のすべてが原価となるわけではないということです。
あ、違うの?
“売上原価” ですので、当然、売れた分だけが “原価” になります。
なので、この計算式の概念を理解しておいてほしいんです!
詳細は避けますが、この概念を利用して粉飾決算を行う会社があるんですね。
簡単に言えば、上の図の③である期末在庫を増加させれば売上原価が下がり、利益を増加させることができます。
俺にはよく分からんがそんなことができるんだ。。
まあこの手法はベタベタなんで、コンサルタントや金融機関にはすぐにバレてしまいますけどね。。
実際に過去のコンサル会社で私のお客さんになりかけた会社が粉飾決算をしていたんです!
その会社の決算は5年間ギリギリの黒字だったのですが、決算書を見た瞬間に怪しいと思いました。
そんな都合よくギリ黒字になるということは節税対策をしているか粉飾かのどちらかです。
前者であれば良かったのですが、残念ながら “クロ” だったんですね。
なぜ分かったのかと言いますと、キャッシュフロー計算書と会社の資金繰り表の現金額です。
基本、キャッシュフロー計算書の現金と決算書の現金は一致しますし、一致しなければおかしいんですね。
私は決算書をもとにキャッシュフロー計算書を作成して事業計画を立てようとした矢先、普通は現金が足りているはずなのですが、なぜか社長は焦って銀行から借り入れを私に内緒で行いました。
明らかにおかしい動きですし、なぜ内緒で行うのが不思議でした。。
なので、何気なく出し渋っていた資金繰り表を提出してもらい中身を見ると、決算上の現金と資金繰り表の現金が〇千万円も違っていたんです!
すげー。
そんなにも違うのによくバレなかったな。。
毎期、決算書を良く見せるために在庫を多く見積もって、ギリギリ黒字にしていたんです!
その結果、徐々に本当の現金が少なくなっていきショートする事態となってしまったんですね。
粉飾決算に気付かずに借り換えを行っていたメインバンクも恥ずかしいですが、事情を知っている税理士も頭がおかしいです!!
なので、こんな会社はヤバいし信用できないので、そーっと距離を置くことになりましたけどね。。
では次に図を使って売上原価を実際に計算してみましょう!
売上原価の計算方法
まずは下の図の2019年を例にしたものを見てください。
①2019年12月期決算(2019年1月~2019年12月の期間)では、2019年1月1日のはじめ(2018年12月31日の終わり)にあった在庫が500万円ありました。
②今年1年間(2019年1月~12月)で買った(製造した)商品は2500万円でした。
③2019年12月期決算では、2019年12月31日に600万円の在庫がありました。
そして、
- ①期首の在庫に
- ②今年度の仕入れを足して
- ③期末の在庫を引く
①期首商品棚卸高(期首成型品)+ ②当期商品仕入高(当期製品製造原価)- ③期末商品棚卸高(期末成型品)= ④売上原価
という計算式となって売上原価は 2400万円 となるんですね。
なので、仕入れた(製造した)商品、2500万円分の全てが売上原価になるわけではありません。
【関連記事】営業マンでも分かる棚卸資産 回転期間と回転率から運転資金までの話
製造原価計算(算出)方法とは?
では最後に「製造原価の算出方法」を簡略版ではありますがご紹介しておきます!
もういいよ~。
勘弁してくれって。
とうとう泣いたでしゅ。
小学生みたいでしゅね。。
こっちゃんはここまでの知識は必要ないので大丈夫ですよ!
また、会社によって項目や計算方法は変わりますので、あくまで参考程度にしてください。
1個あたりの販売価格 = 1個あたりの製造原価 + 1個あたりの販管費・本部経費 + 1個あたりの予定利益
*年間の予定生産量が必要
① 年間実質総作業時間の算出(1時間単位 or 1分単位)
② 年間実質労務費算出
③ ② ÷ ① = 1人1時間(1分)あたりの作業単価、これに1個あたりの作業時間をかける
④ 材料費を算出
⑤ 販管費・本部経費の割り振り方(配賦方法)を決定し、1個あたりの費用を算出
⑥ 設備使用コストを算出
- 設備(購入)費用 ÷ 耐用年数 ÷ 12か月 = 1か月の使用料
- ここから稼働日数、稼働率を加味して1分あたりの使用料を算出
- 1個あたりの使用した時間に使用料をかける
⑦必要利益の割り振る方法を決定し、1個あたりの利益を算出
③+④+⑤+⑥+⑦ が1個あたりの製造原価となる
以上です!
なんのこっちゃウーロン茶だけど、知らなくていいのなら無視無視!
別に知っておいてもいいんでしゅって。
【関連記事】営業マンでも分かる事業計画書 必要項目と書き方、例も紹介
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は「アパレルの原価率が低いのは嘘?原価の正体と算出方法も紹介」として、
- アパレルは原価率が低いのは嘘!の理由
- 原価とは?原価にも種類がある!
- よく勘違いする売上原価と売上原価の計算方法
以上の内容をお伝えしました。
アパレルの原価率が低いと言うのは嘘であり、仕入れ原価率は低くても結局、着地原価率は高いんです。
理由はアパレルは売れなくなっており、セールを見越した値段設定をしているからですね。
なので、この悪しきアパレルのビジネスモデルは見直さないと未来はありません!
また、原価の解説は難しい部分もあったと思いますが、何度も読んでいただいて概念だけでも知って欲しいですし、売上原価は理解して欲しいと思います!
大丈夫です!!
私も最初はなんのこっちゃウーロン茶状態でしたが、徐々に理解できるようになりましたので、少しずつでいいと思います。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです!
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